また耕平の手が俺に触れてくる
 大きくて、とても綺麗な手が俺に触れてくる

 柔らかく伸ばしてくれる手も、悪戯するように髪をかきまわす指も、
 時に・・・熱く、触れてくる掌でさえも

 耕平のそれは、いつだって優しくて。

 嬉しい時も、悲しい時も、楽しい時も、心細い時も。
あったかさも、不安も、悔しさも…切なくなるような…想いも…。
 俺の「気持ち」を全部さらって辛い気持ちだけを吸い取って、
「俺が欲しい気持ち」だけを、もっと大きくふくらませてそっと俺に返してくれる。

 そうやって、いつだって耕平は側にいるって。そう、言ってくれる手なんだ。

 
どこにいる時だって俺には耕平がいてくれる…そう思うだけで、
俺は何だってやれる気がする。何があっても大丈夫だって、そう思える気がする。

 そしてこんな風に、耕平が俺に沢山の「何か」を感じさせてくれるほどに。
俺はますますこう思うようになるんだ…

 強く、なりたい。

 その手がくれる優しさにも応えられるくらい

 強く、なりたい。

     俺の
 いつか、この手が同じ大きさと優しさを持てるくらい
 同じだけの強さを持った笑顔をお前にも向けられるくらい

 これから過ごす長い時間もきっと、そのあたたかさに俺は甘やかされてしまうのだろうけど。

 それでも。

 お前の側に、俺がいる意味をもっと持ってもらえるように。
 もっと好きでいてもらえるように。
 俺は強くなりたい。
   大きく、なりたい。

 
・・俺は。
  強く、なろう。









← Home     Back →