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「ダイレクトメールかぁ・・ま、いいや」
猛はつぶやくと、封筒を机の脇のゴミ箱に放り込んだ。
「・・うわっ!まじでやばいっ!」
そのまま部屋を飛び出した。
「だからっ!どうして中身を見もせずに捨てるんだ!お前はっ!!」
「だってしょうがねーだろっ!!急いでたんだからっ!!」
12月24日。
世間ではクリスマスソングが鳴り響き、ケーキを買って帰るお父さんお母さんの姿が目に付く日である。
そしてこの日は年に一度、恋人達の一大イベントと言われている日でもある。
・・・だが。
そんな恋人同士の甘い雰囲気が漂っているはずの、等々力耕平の部屋では、なぜか盛大な口げんかが始まっていた。
原因は、耕平が送ったデートの日時を書いた紙を、猛が読まずに捨ててしまい、約束の時間にあらわれなかったことにあった。・・・まるでどこかのヤギさんのような二人である。
「せっかくお前と見に行こうと思って、いろんな情報を集めて夜景が綺麗なところを探したのに、何でお前は俺が送った、その手紙を捨てちまうんだ!」
「そんな面倒なことしないで、時間と場所くらい口で言えばいいだろっ!」
「それは・・たまには変わったことをしてみるのもいいかと・・」
耕平の声が少し弱くなる。
「だいたいなぁっ!手紙の裏には自分の住所と名前を書けって、小学校で習わなかったかっ!」
「う・・・それは・・つい忘れて・・」
「名前があったら俺だって捨てねーよ!」
「そりゃ・・・まあ・・・」
最初の勢いはどこへやら、すっかり立場が逆転した二人である。
「俺が耕平のことを無視したわけじゃないって、わかったかよ」
「・・・わかったよ。ぜーんぶ俺が悪いです」
いい大人がすっかり拗ねてしまっている。
ため息をひとつついて耕平を見上げる。あさっての方を向いて視線を合わせない耕平を見て思わず苦笑してしまった。
『・・まったく、子供みたいだよなぁ・・もう、しょうがないったら・・』
耕平の顔を猛は両手でがしっと掴んで自分の方に向けた。
「・・・で、今夜の予定は?」
「・・・?」
困惑した表情を浮かべた耕平に近づき、チュッと口づける。
目を見開いて固まった耕平を見て、思わず笑った。
「そんなに驚くなよな・・・まだ今日は終わってないから・・・クリスマスイブやりなおそうぜ」
固まっていた耕平の口元が徐々に微笑みを浮かべていく。
結局、犬も食わない二人のケンカである・・・・・
FIN.
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